文:山内 舞子 / キュレーター

中嶋明希が生みだす作品は温和な表情で人々を迎える。

が、よく見るとそこには人によっては畏怖や嫌悪を抱かせるような生物

-例えばヘビや芋虫-の姿が隠されていることがある。

ウサギやパンダのように商業的に重宝される「かわいらしい生き物」だけではなく、

自らが興味をもった生き物をあまねく対象とする姿勢には、

生(せい)を等しく見做す仏性観に近いものがある。

そして、その造形のいしずえとなっているのは、変容というものに対する強い関心だ。

昆虫は幾度もの変容を経て成長し、花とは一蓮托生のような関係になることもある。

しかし、昆虫は花そのものには成れない。

動物と植物の掛けあわせは、一種の禁断である。

つぶさに作品を見ようとする者だけに明かされる秘密-中嶋明希は

どこか錬金術師のような気配をまとった作家なのである。